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Times Higher Education世界大学ランキングに関する申し入れについて

Times Higher Education世界大学ランキングに関する申し入れについて
― ランキング指標のより適切な運用と理解を目指した要望 ―


 このたび、2人の日本人研究者がノーベル賞を受賞し、日本人(米国籍になられた方も含む)の受賞者総数は24人に達し、21世紀以降の自然科学分野(物理学、化学、生理学・医学)における受賞者数では世界第2位の15人となります。こうした業績からも明らかなとおり、知の開拓への挑戦と多様性の確保・蓄積により、これまで日本の学術研究は、世界の科学の発展をリードし、高い評価を得てきました。

 他方、時を同じくして公表された英国のTES global社が毎年発表している「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(Times Higher Education:以下THE)」の世界大学ランキングにおいて、日本の大学の順位が大きく低下しました。この順位変動は、論文引用に関するデータベースやスコア算出の方法等の変更によるところが大きく、前回との単純比較を行うべきでない旨はTES global社自身が今年度の公表時に注意を促しています。

 しかし、今回の結果は、「THE」をはじめとする大学ランキングにおいて、論文引用指標をはじめとする大学の研究力を評価する指標が決定的に大きな影響力を持つことを私たちに改めて強く印象づけました。つとに指摘されてきた、日本の研究力の低下、論文生産の質・量における日本の存在感の相対的な低下を直視し、個々の大学において主体的な改革の努力を重ねることはもとより、政策レベルで適切な対応がとられることが急務であります。

 私たちは、「大学研究力強化ネットワーク」として、研究大学における学術研究の発展のため自主的かつ、主体的に集まり、これまでに様々な提言等の情報発信を行ってきました。日本の論文生産を牽引してきた科学研究費助成事業をはじめとする研究費の充実や、全面的な学術研究助成基金化、先端研究設備の共同整備及び技術専門家の確保、若手研究者支援、研究環境整備など、提言として発表しています。今回の「THE」の世界大学ランキングの公表を踏まえ、それらの提言等への留意を改めて求めるとともに、ランキングに一喜一憂することなく、研究力強化のためにできることについて、冷静かつ長期的視野にたったご理解を各界にお願いしたいと考えています。

 また今回、TES global社からも、「THE」をより良いランキングとするため、指標の改善について、意見を聞きたいとの提案がありました。

 そこで、我々としては、まず第一歩として、今回のランキング結果を冷静にかつ真摯に受け止め、客観的な分析・評価、さらには「THE」を発表するTES global社との相互対話を行うことが重要であると考えました。特にランキング指標のより適切な運用と理解に関する我々の考えについて、TES global社に対して申し入れを行うこととなりました。

 世界における日本の大学の存在感回復にむけ、大学の自主的な改革も含む取り組みについて、各界のご支援とご理解をいただきながら、今後とも研究力強化を進めていければと考えています。

 なお、本申し入れに際して、アドバイザーとして、東京工業大学の調麻佐志准教授ならびに大学評価・学位授与機構の田中弥生教授よりご意見をいただきました。厚く御礼を申し上げます。



大学研究力強化ネットワーク・大学ランキング指標タスクフォース 一同
岡山大学(幹事校)、東京農工大学、電気通信大学、新潟大学、金沢大学、広島大学、情報・システム研究機構、自然科学研究機構(世話役)


(本件に関する問い合わせ)
大学研究力強化ネットワーク・大学ランキング指標タスクフォース
担当:自然科学研究機構 小泉周 特任教授
03-5425-1301、nins-ura@nins.jp


申し入れの本文は、以下のリンクのとおり。
「Times Higher Education世界大学ランキングの指標に関する申し入れ」

(英文)「Proposal for Times Higher Education World University Ranking Indicators」




(参考)大学ランキング指標に関するタスクフォースについて

 近年、大学の教育・研究等の活動を見る手段として、「大学ランキング指標」が用いられることがあります。この大学ランキング指標は、国や地域、言語、習慣など異なるさまざまな要素を含みながら、企業や研究機関などが独自に発表しています。これらの大学ランキング指標は、時にセンセーショナルに報道されることや、その独自性の充分な理解を得られずしてただ順位のみに焦点が当てられることなどがあります。

 今回、大学研究力強化ネットワークでは、このような実状を鑑みて、大学ランキング指標の更なる理解とそれへの対応・利用、ひいては大学評価や研究力強化促進に至る点などを考察する新たなタスクフォース(TF)として、「大学ランキング指標に関するタスクフォース」を大学研究力強化ネットワーク全体会議(第3回:平成27年6月9日開催)での審議の結果として、設けることとしました。

 本タスクフォースにおいては、以下にかかげる「大学ランキング指標に関しての基本的考え方」を共有しつつ、その考察を行うことで、大学・研究機関や行政府、ランキング指標作成企業・研究機関などに対して、真に大学評価や研究力強化促進に寄与する提言をまとめることとしています。

「大学ランキング指標に関しての基本的考え方」
・大学ランキング指標は、単なる“順位ありきの大学・研究機関間の競争”ではない。順位のみに一喜一憂する必要はない。
・大学ランキング指標に用いられている数多くの評価指標の十分かつ、その良し悪しを理解したうえで、大学・研究機関の総合力を測るひとつのベンチマークとして、自組織の研究力強化促進への参考にすることが重要である。
・ひとつの大学ランキング指標に依拠するのではなく、さまざまな大学ランキング指標の特徴を理解したうえで、総合的に利活用することが重要である。

 このたび、大学ランキング指標タスクフォースでは、この観点で、まず、平成27年10月1日に発表された「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(Times Higher Education:以下THE)」の世界大学ランキングにおける評価指標の扱いについて、より適切な運用と理解を目指した申し入れ(添付)を、THEを出版するTES global社に申し入れることとしました。

 今後さらに、タスクフォースでのディスカッションを重ね、今年度中に改めて提言等をまとめていくことを考えております。



(2015.10.30)